JLINE 通販の勝ち組

『 キャッシュレス国家 「中国新経済」の光と影 』

神開の書棚 お勧めする書籍
この記事は約3分で読めます。

西村友作著
『キャッシュレス国家 「中国新経済」の光と影 』
(文春新書、2019 年)

本書著者である西村友作氏は、 中国の対外経済貿易大学国際経済研究院の教授 。 2002 年より北に在住し 、 2018 年より現職とのこと 。 「 日経ビジネス 」 で中国に関する連載を持たれているので、 なんとなくその存在は知っていました 。
本書はそんな中国経済のスペシャリストにより、「 キャッシュレス国家 」 中国のこれまでの発展経緯 、そしてそれにより生じた光と影を 、 現地在住者ならではの視点から生々しく報告されます 。


日本でもここ4 、 5年 、 国をあげてキャッシュレス化を推進しています 。 テレビをつけると 、 PayPay 、 LINEPay 、 d 払いとキャッシュレス関連の CM を必ず目にすることになりますし 、
また 、 図らずもそんな中で新型コロナウイルスのまん延が発生し 、 非接触が好まれる世の中となったことは 、 それに拍車をかけることになりました 。 今では若者は当然ながら 、 僕のようなおじさん世代でも日常的に使うようになっています 。
しかし、 そんな日本のはるか先を行くのが中国です 。 今や電子マネーで払えない場所はほとんどなく 、 本書によると買い物はもちろん 、 屋台の飲み代からお年玉もご祝儀もキャッシュレスだそうです 。 ボーナスを現金でもらっていた時代を懐かしむ そして 、 それに一定の意義を感じる 僕の
ような人間ではついていけない社会になっているように感じます 。
こうした経済システムを中国では「 新経済 」 と呼んでいます 。 本書では 、 アリババとテンセントという中国 「 新経済 」 の二大プラットフォーマーによる決済アプリをめぐる熾烈なシェア獲得競争の話から始まり 、 その恩恵を受けながら続々と誕生している新ビジネスが紹介されます 。 カーシェアリングやシェア自転車といった有名なものから 、 料理や食材のデリバリー、 無人カラオケ 、 小型フィットネスジム 、 さらには病院の受付 、 支払いまでスマホひとつで済んでしまうと言います。
この「 新経済 」 発展の背景には 、 イノベーションによる経済成長を目指す中国政府の後押しがあったことを 、 データを駆使して著者は示します 。 中国は世界第二位の経済大国ですが 、 まだまだ開発途上の側面も多く残しています 。
しかし 、 それは逆に言えばそれだけビジネスチャンスが多いということであり 、 テクノロジーのイノベーションがそこで起こっているという 、 今の中国の活況が詳述されます 。 量はともかく 、質の面では日本にまだまだ及ばないという見方が今でもあるように感じますが 、 そうした対中観も今後は変わっていくのではないでしょうか 。 
旧世代とは違った感覚を持つ 「 中国の Z 世代 」 が世の中の中心になる頃には 、 中国は質 ・ 量ともに 、 日本を圧倒するようになっているような気もします 。 悲しい話ですがもちろん、 このような急激なキャッシュレス化がもたらしたのは 、 光ばかりではなく影もあります 。 キャッシュレス化に出遅れた日本にとって 、 この部分は先行事例として大いに参考にすべきでしょう 。
そもそもキャッシュレスとは 、 現段階では 通貨があることを前提としたものであり 、 絶対必要なものではありません 。 日本で携帯電話がグローバルスタンダードからガラパゴス化したように 、 別に中国を見習い 、 合わせていく必要はありません 。 キャッシュレスはあくまでも現金の補助的なものとし 、 中国規模のキャッシュレス化は目指すべきではないようにも本書を読んで思えたのですが 、 この辺りについての早計は禁物 。 本書に続く西村氏の近著『 数字中国 デジタル ・ チャイナ コロナ後の 「 新経済 」 』 中公新書 ・ ラクレ を読んで 、 改めて考えてみたいと思います 。

タイトルとURLをコピーしました