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『一生稼げる脳の作り方』

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長谷川嘉哉著
『一生稼げる脳の作り方』
(KADOKAWA、2020年)

この著者の名前を聞いたことがないという方もきっと多いことでしょう。しかし、この超高齢化社会の現在において、これほど求められている書き手は他にいません。出版界、いや、日本社会はこんな才能の登場をずっと待っていました。本書はそんな、現在随一の逸材が書いた注目の一冊。以下に本書に記された著者長谷川嘉哉氏のプロフィールを引用します。

1966年、名古屋市生まれ。名古屋市立大学医学部卒業。医学博士、(中略)「ファイナンシャルプランナー(FP)資格を持つ専門医」として、地方のクリニックでありながら、全国から月に1,000人以上の認知症患者さんが受診され、認知症治療とともにお金に関する今後の生活まで一括して相談を受けている。
要するにこの先生、認知症専門医であると同時に、お金の専門家でもあるのです。「人生100年時代」と呼ばれる今日、65歳で定年を迎えてから35年にわたる長き余生をどう生きるのかというのは、誰もが早いうちから真剣に考えておかなければならない深刻な問題です。また、その際にポイントになるのが、何といっても「健康」「お金」。この2つは別々の問題のようにみえて実は「健康を維持するためにはお金が必要」、「お金を維持するためには健康が必要」と、切っても切りなせない相補的な関係にあります。そしてその前提条件となるのは、「認知症にならないこと」であるのは言うまでもないでしょう。本書では「健康」、「お金」、そして「認知症」という老後の3大問題を別々に分けて考えるのではなく、一つの問題として捉え直しそれを一挙に解決する方法を提示します。こう書くと強引な荒業のように聞こえるかもしれませんが、それを理路整然と無理なく読者に届けられるところが、長谷川氏が当代きっての逸材にして、「ライフドクター」と呼ばれる所以。長谷川氏はその解決策を、本書のタイトルでズバリと示しています。
「一生稼げる(働ける)脳を作る」ことです。
長谷川氏は認知症専門医の立場から、適切な仕事こそが心と体を健全に保つことを、そしてFPの立場から、生涯現役で働き続けることにより生活上の資金面が安定することを説きます。一昨年、「幸せな老後を送るには年金だけでは不十分。2000万円の蓄えが必要」という旨の文書を金融庁が公表し、大きな物議をかもしたこともありましたが、長谷川氏はこれに対して次のように反論します。
「老後資金」はいらない!「蓄える」よりも「働ける状態」のほうが100倍大切!
2000万円必要と言われて、絶望的な気持ちになった一般大衆にとってこれ以上の救いの言葉はありません。今より寿命の短かった時代は、引退後に悠々自適の余生を送るというのもアリだったのでしょう。しかし今のように何十年もそれを送らなければならない時代において仕事を続けることは、お金を稼ぎながら同時に認知症予防のトレーニングもできるという、一石二鳥の状態であり、これこそがシニア層にとっては一番理想的な状態だという著者の主張は非常に説得性のあるものです。シニア予備軍の僕はこの考えに激しく賛同します。本書は「人生100年時代の『幸福論』」と呼ぶべき一冊で、本書を読むことは、定年後の幸せを築く第一歩となることでしょう。

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