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『大金持ちをランチに誘え︕』

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ダン・S・ケネディ著
『大金持ちをランチに誘え︕』
(東洋経済新報社、2007年)

本書は、ダン・ケネディのまさに全盛期、油の乗り切った時期を代表する一冊です。ダン・ケネディの数多い著作を今、改めて読み直して感じるのは、彼の著述家、マーケティングコンサルタントとしての全盛期は1990年代から2000年代初頭であるということです。その時期のダン・ケネディは本当に天下無双と呼ぶべき切れ味の鋭さがありました。ところが、2010年以降ネットマーケティングが

隆盛となってからの彼の著述はハッキリ言って、時代に対するキャッチアップの感覚を失い、時代遅れの頑固おやじという印象ばかりが残りました。熱烈なファンである僕が言うのだから、これは間違いありません。後期のダン・ケネディの作品は明らかに精彩を欠いたものが多くありました。
しかし、冒頭でも申し上げましたとおり、本書は飛ぶ鳥を落とす勢いの時期に書かれたものだけあり、本質をズバリと見抜く眼力、一切の忖度のない鋭い舌鋒は、痛快かつ、きわめて実践的です。以前どこかに書いた気がしますが、ダン・ケネディを読むなら、本書と『究極のマーケティングプラン』、そして『究極のセールスレター』という東洋経済新報社から発行された3部作を断然オススメします。そして、その中でも僕が一番好きなのが本書です。
本書はいわゆる「自己啓発本」です。自己啓発本というジャンルは好き嫌いがはっきり分かれるもので、嫌いな人の口からは「どの本を読んでも同じことが書かれている」といった文句をよく耳にします。その点で言うと、本書も同じです。いや、むしろその「同じこと」を煮詰めて、ワンメッセージにまとめあげたことに本書の特長はあります。僕はこのワンメッセージさえあれば、それ以上余計な言葉を費やす必要はないという筆者の姿勢に激しく共感を覚えます。本書を皆さんに推す理由もここにあります。

そのワンメッセージとは何か?

それをここで言ってしまえば、本書を読む興味が削がれてしまうので、ここで述べるのは避けます。ここではそのヒントとなる、本書で述べられる次の言葉を紹介しておきます。あなたの今の姿は、あなたが望んでいる姿そのものなのです。こう言われて、「全然違うよ!」と言いたくなる方も、きっといらっしゃることでしょう。もっと金持ちになりたかった、もっと痩せたい、もっと美人と結婚したかった、、、と、理想の自分とのギャップを抱えていない人なんてほとんどいないものですからね。しかし、ちょっと考えてください。あなたは、今、上に挙げたような理想を実現するためにどれだけ努力し、自分を捧げてきましたか?そういう犠牲を払うくらいなら、これくらいでいいか、、、という妥協のもとにあるのが今のあなたであり、それを望んだのは他ならぬあなた自身――。つまり、今のあなたの現実とは、あなたの望んできたことの集大成なのです。この認識がまずは重要と、ダン・ケネディは説きます。しかし、そうは言っても、あなたが思い描く理想の自分とのギャップがあるのもまた事実に違いありません。そのギャップを埋めるにはどうすればいいのか?本書が唱えるワンメッセージとはこの点について述べたものであり、それは驚く程、シンプルで当たり前なものです。しかしだからこそ、説得力があります。かの世界的スポーツメーカのキャッチコピー、“Just…”のように。

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