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『億万長者のビジネスプラン』

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ダン・ケネディ著
『億万長者のビジネスプラン』
(ダイヤモンド社、2009年)

またダン・ケネディです。
前に彼の『大金持ちをランチに誘え!』を取り上げたばかりなのに、また新刊でもない彼の本を取り上げるのにはワケがあります。僕は、「ダン・ケネディを読むなら、本書と『究極のマーケティングプラン』、そして『究極のセールスレター』の、東洋経済新報社から発行された3部作がオススメ」と記しました。しかし、その後、「あっ、そういえばもう一冊あったな……」と思い直すにいたり、忘れぬうちに紹介しておこうという気持ちになりました。同一著者の本を紹介するときは、なるべく間を空けるようにと心がけておりますが、今回ばかりはそういうわけで、またダン・ケネディの著書を紹介させていただきます。悪しからず。
さて、東洋経済新報社発行の三部作と並ぶ、ダン・ケネディの「もう一冊」として僕が今回オススメする本書『億万長者のビジネスプラン』の原著がアメリカで発行されたのは1996年。そして、その日本語版(本書)が発行されたのは、その13年後の2009年。僕はその発行後間もなくこれを読みましたが、その時点ですでに「内容が古い」と思いながら読んでいた記憶があります。そして、それからさらに12年を経た2021年の今、本書を改めて読み直すと、当然その思いはさらに増したものとなります。たとえば、次のような記述があります。テクノロジーの力を借りて、商品やサービスを盛り上げることはできないだろうか。(中略)テイクアウトの注文をファクスで受け付けるレストランがある(P107)スマホアプリから注文するのが当たり前の現在からすると、この記述には誰もが隔世の感を覚えることでしょう。
1996年というと、グーグルもフェイスブックもまだどこにも存在していない世界です。そんな世界で過ごしたことのない今の若い世代にとって、この記述は古文書を読むに等しいものかと思われます。しかし、すべての古文書が読むに値しないものかと言えば、もちろんそうではありません。古文書の中には時代を超越した優れたものも多くあります。その究極の例は聖書でしょう。そのルーツをたどると紀元前4世紀まで遡ることになりますが、欧米では未だにもっともよく読まれている書物であり、計り知れない影響力を及ぼし続けています。それと同じようなことが本書についても言えます。今やマーケティング実践における中心的な場所は、デジタル空間であり、昨今発売されるマーケティングの専門書は、ネット技術の話に偏りがちな傾向にあります。しかし、ここで忘れてならないのは、デジタルはあくまでも手段に過ぎず、マーケティングの本当の目標は「人間の心を動かす」こ
とにあるということです。技術は目を見張る速さで進歩しますが、聖書が未だに読み継がれていることからも分かるように、人間の根本的な部分は1000年単位でみても、ほとんど変わるものではありません。本書は様々な具体的事例の中から、その人間の変わらない部分を拾い出し、そこを衝くことがマーケティング成功のカギであることを明らかにしていきます。デジタルという余計なノイズがない分、「人間の心を動かす」というマーケティング本来の目的にストレートに通じるものになっています。実務家ダン・ケネディの具体的な事象からその本質を見抜く、帰納的能力がいかんなく発
揮された一冊です。ネット世代の人ほど読んでほしい。

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