樺沢紫苑著
『学びを結果に変える アウトプット大全 』
(サンクチュアリ出版、2018年)
昔から「○○大全」と名の付けられた書物はたくさんあります。
その「○○」には、「豆判春画」や、「ウルトラ大怪獣」、
「ゾロアスター教」、「ボルト&ナット」……
といった感じのマニア以外にとっては、
きわめてどうでもいいものが多く、
しかもそれでいて、
豪華装丁版で一冊数万したりするものもあり、
いったいどこにこんなものに対する需要があるのかと、
しばしば首をひねらされたものでした。
だいたい「大全」って
この漢字の組み合わせ自体よく分かりません。
「大きい全て」? どういうこと? もしかして仏教用語?
……と、急に語源が気になりだしたので、
今ネットで調べてみました。
どうやら英語の“complete work”を
和訳したことがそれにあたるようです。
ほー、なるほど、ということは、その直訳から推測するに、
おそらく「大全集」って言葉が先にあり、
どういう理由かで「集」をはしょったってことかな?
しかし、いずれにしても”complete”を求めるとなると、
大部分でマニアックなものにならざるを得ないし、
その書物としての本質的な価値はさておき、
そこまでのものはマニア以外の需要がないため、
その分を豪華装丁とかにして一冊当たり単価を上げて
補っていくしか発行する方法はなかったのでしょう。
これまで「大全」と名のつく書物は
「マニア」、「コレクター」、「オタク」
といった人たちだけのための奇書で、
門外の者を寄せ付けない強いオーラを
身にまとったものが多かったのは、
こういった理由からだと思われます。
しかし、そんな「大全」、
ここ数年その状況に変化が見られます。
実は今、ひそかに「大全」ブーム
が起きているのをご存じでしょうか?
アマゾンの検索窓に「大全」と入れてみてください。
おそらく最初に『アウトプット大全』が出て、
その次には『問題解決大全』、『アイデア大全』、
『ライフハック大全』あたりが続くことでしょう。
これらの「大全」はすべてここ1年くらいに出たものであり、
共通する要素も見られます。僕が思うにそれは、次の5点です。
①テーマは、実務で役に立つノウハウ、ハウツー
②業態、業種等を問わず、どんな仕事でも応用の効く内容
③まだそれほど体系化されていない概念、あるいは技術
④初心者、入門者向け
⑤網羅的で広く浅い内容
以上。
もちろん最近出たものを全部を読んで
言っているのではありませんが、
上であげた、ここ最近出た「大全」郡などは、
まず間違いなくこの5点に該当することでしょう。
この「大全」の新しい波は、
「大全=マニア向け奇書」という
これまでのイメージを一掃し、
「大全」のコモディティ化を推し進めています。
そして、今回取り上げる『アウトプット大全』は、
そんな「大全」ブームをさらに加速しました。
なんせこの本、この8月に登場し、
それから、たった3カ月で
20万部以上発行したというのです。
これはもう、
今年を代表するベストセラー
と呼ぶべきでしょう。
これだけのヒットした要因を分析すると、
上記5点をきちんと押さえながら、
「アウトプット」というより包括的で、
万人が内に秘める課題にフィットしたことが
あげられるかと思います。
つまり「アウトプット」と「大全」、
ここにはマーケティング的な
化学反応が見られるのです。
これは売れて当然ですね。
内容面はズバリ上にあげた⑤そのものでしたが、
それでも80もの「アウトプット」
を網羅されると圧巻の一言。
デザインもすっきりと洗練され、
昨今の「大全」ブームの中では頭一つ抜けた良書です。
アウトプットが苦手な方に
おススメします。
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