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ダン・S・ケネディ著 『常識の壁を越えて――こころのフレームを変えるマーケティグ哲学』 (阪急コミュニケーションズ、2005年)

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ダン・S・ケネディのビジネス書は大好きで
僕のビジネスにおいて、役に立つ参考書である。

今でも毎月彼のニュースレターを
定期購読しているくらいなのです。

そして、今回手に入れた本
オビに「60分で読めるけれど一生あなたを離さない本」とあるが、
これはまったくのウソ。

そもそも232ページの本を60分で読むというのは、
かなりの読書スピードを要するものである。
(フォトリーディングのスキルが必要)

それ自体は、文章のリズムと巧みなストーリーテリング、
内容的な良さなどがあればけっして無理な話ではない。

しかし、じゃあ、この本にそういうのがあるのかいえば、
残念ながら皆無に等しい。

使われる言葉は空疎で陳腐な上に、いちいち説教臭く、
「常識を超えて」というタイトルに反して、
内容は常識的なことばかり。

数行読むたびに退屈で意識が飛ぶ。

それでも、冒頭の解説で監修者である金森重樹が、
大絶賛しているものだから、どっかにはためになることが
書いてあるに違いないと期待して
なんとか第4章(71ページ)まで読み進めてみました。

しかし、僕の我慢もここで限界
(そしてこの時点ですでにオーバー60分)。

全体の3分の1も読んでいないが、
これだけ読めばもう言い切れる。

この本は駄作である。これはもう間違いない。

しかし、そう言い切っておきながらなんだが、

この本が、まったく評価に値しないものだったかというと、
そうでもないということも、
ここで少し付言しておく必要があろう。

駄本であるには違いないものの、
この本が駄本であるのにも、
またそれなりの理由があったりするのだ。

タイトルに「マーケティグ」と入っているが、
この本にそのような内容はほとんどなく、

ジャンル的には、「成功哲学」や「自己啓発」
といったところに分類されるべきものである。

書店の棚では、この手の本のコーナーが
幅を利かせているのをよく目にするが、

そのうちの多くは、ナポレオン・ヒルやら、
マーフィーの法則なんかを下敷きにした無内容な本である。

具体的な書名は差し控えるが、
あなたもその手の本を買って、
その中身のいい加減さに
唖然とされたことはないだろうか?

「引き寄せ」、「脳」、
「大富豪の教え」、「レバレッジ」……なんていう、

いかにもいかがわしい言葉を売りにした
「成功法則」が、これらの本では披露されるが、

それらをよく読めば、
もはや誰からも相手にされない
手垢にまみれた教訓もどきの焼き直しであったり、

「潜在意識」や「情けは人のためならず」、
はたまた「トイレをきれいにしましょう」
といったビジネスとは直接関係のないどうでもいい話に

「法則」を転換することで、
お茶を濁しているケースがほとんどなのである。

成功に法則など存在しない
(が、失敗には確固たる法則がある)。
確か野村監督も同じようなことを言ってましたよね。

この考えに立脚する一点において、
本書は、無内容の誹りをかろうじて免れる。

成功法則なんてものを端から認めてはいないのだ。

この著者は。億万長者メーカー、ダン・ケネディは、
甘いことや調子のいいことはけっして言わない。

その言葉は冷徹にして厳しく事の本質を突く。
ここは本当に評価してもいい。

が、本書について褒めていいのはせいぜいここまで。
この著者、DRM界のカリスマだけあり、
その著作も数多く翻訳されているが、

出版元によって、その質の差が非常に激しい。
まず読むなら、この本ではなく、

東洋経済新報社から発行されている
神田昌典監訳のものをひとまずおススメする。

……と、ダン・ケネディをまねて、
毒舌、辛辣な調子で、今回はお届けしました(笑)

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