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冨田和成著『鬼速PDCA』(クロスメディア・パブリッシング、2016年)

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「PDCA」なんて聞くと、みなさん、どうですか? 

「えっ、今さら?」と感じる方も多いのではないでしょうか。

 

僕にしても基本はそうです。

 

なんせ若い頃にはさんざん、「PDCAをきちんと回せ!」と、

上司から厳しく言われてきましたし、最近では自分が部下に対して、

同じようなことをしょっちゅう言っているものですからね。

 

しかしその一方で、昨年あたりから、

書店のビジネス書コーナーで、

PDCA関連の新刊が平積みにされているのをよく目にするようにもなりました。

 

これは一つのブームと言ってもいいくらいです。

 

僕が最初にそれを目にしたときには、

やはり、「えっ、今さら?」と思ってしまいましたが、

 

このブーム、もしかしたら、PDCAが、バージョン・アップし、

「PDCA2.0」とでも呼べるようなものが登場しているからなのかもしれない、

 

最強のフレームワークであるPDCAが進化したのなら、

それはなんとしても知っておきたい……と、

 

そんな思いが頭をよぎり、書店で思わず手に取ったのが、

この『鬼速PDCA』です。

 

他にもいろいろありましたが、

「鬼速」って言葉に断然惹かれたのでした。

 

 

さて、まあ、そんな目論見と期待を胸に、読み始めたこの本ですが、

はたしてバージョン・アップした

最新のPDCAをこの本が示していたかと言うと……う~ん、微妙。

 

いや、しかし、読んで損したなんてことはけっして申しません。

期待していたのとは少し違っていたのかもしれませんが、

これはこれで、読む価値十分。

 

自分の味方全員に読んでほしいが、敵にはなるべく読ませたくない。

そんなことを思わせる、すごい一冊でした

 

 筆者が我流と称する、各ステージでの定量化による指標管理や、

抜け漏れなく課題を分解し、具体的な行動へと導いていく手法は、

僕の知っている従来のPDCAとさほど大差はありませんでした。

 

が、それでいて、僕がこの本を味方全員に読んでほしいと思ったのは、

ここで示されるスキルが机上の空論や絵に描いた餅ではなく、

きちんと筆者のPDCA体験から導き出された

血の通ったものと感じたからです。

 

この筆者は、機械やコンピュータではない人間だからこそ、

PDCAという、失敗や挫折までをも想定に含んだ、

実に汗臭く泥臭いスキルが必要なことを熟知しています。

 

PDCAを運営するのは簡単ではありません。

本当に苦しいものです。

 

しかしだからこそ、

人間を成長させるものがそこにはあり、

その成長過程をも一つのスキルとして体系化し、

再現可能なものとして提示されていきます。

 

これは筆者が、証券会社の営業マンとしてトップに上りつめたり、

経営者として自社を時価総額100兆円までもっていこうとする、

実体験から得られたものであり、

コンサルタントが書いたPDCA本などとは大きく一線を画す部分です。

 

書かれてあることの一つ一つの要請レベルは

非常に高いものでありながら、

読んだら即実行したくなる。

 

そういうモチベーションを引き出すところもまた、

「鬼速」をさらに加速する一つのスキルと言え、

この本自体がそれを体現しています。

 

そういう意味では、これほど実践的なビジネス書を僕は知りません。

味方であるあなたには絶対に読んでいただきたい。

 

ぜひ、この年末にPDCAの醍醐味を堪能されてみてはいかがですか。

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